今日は身近な嗜好品である緑茶に関する東洋医学(中医学)の話です。
『緑茶は身体を冷やすから飲まない』と、冷えを心配して緑茶を飲むのを我慢している方がたまにいらっしゃいます。
ネットで「緑茶が身体を冷やす」と検索しても緑茶が体を冷やす派のページがたくさんヒットします。
世間ではすっかり緑茶は「冷やす」飲み物と認識されてしまっているようです。
「冷やす」根拠として、東洋医学では緑茶の性が「涼」であるから、との説が多いかと思います。
涼の性質は熱を冷ます・・・身体を冷やす・・・冷えは身体に悪い!・・・・・・・というコトで緑茶=「冷やす飲み物」=「冷え症にはダメ」という考え方が世の中に広まってしまったようです。
はたして東洋医学(中医学)で涼性の食物は本当に身体を冷やすのでしょうか?
緑茶には多くのポリフェノールが含まれているのは有名です。
カテキンというポリフェノールの名前はすっかり定着し、多くの人が耳にしたことがあると思います。
これらの緑茶ポリフェノールには殺菌作用・抗炎症作用などが有り、様々な実験が行われ、この殺菌・抗菌の作用を利用した抗菌繊維や洗剤、歯磨き粉、ガム、消臭剤など色々なお茶関連の製品が世の中に出回っています。
(お茶の葉による茶香炉はやさしい香りでとても癒されます)
東洋医学(中医学)では、炎症はその字の通り炎が燃え上がるような状態と考えます。
燃えるものには水をかけて消火するように、炎症のような熱性の病気には寒性のクスリを使います。
物理的に温度を下げるクスリ=「涼」・「寒」ではなく、熱証を抑える薬物=「涼」・「寒」の性質です。(熱証と言いましても必ず炎症のように発熱をともなっているとは限らず、イライラや血液の循環不良、おできや便秘・・・いろいろな症状で熱証があります)「涼」・「寒」性質と聞くと体温を下げて冷えてしまうと思われるかもしれませんが、この「冷やす」というのは中医学では必ずしも温度を下げる「冷却の性質」を指すわけではないのです。
緑茶に話を戻しますと、緑茶の場合はポリフェノールの抗炎症作用や殺菌作用、血圧を下げる効果などを「涼」の作用と言っています。
なので、緑茶を飲んで一服したところで、正常範囲よりも体温を下げる効果はありません。
日常の食べ物を常識の範囲で摂取するくらいで、体温中枢をコントロールし人体の恒常性を乱すような薬理作用がある訳はないのです。
と言うわけで、「緑茶が身体を冷やす」と言うのはちょっと誤解されてる部分があります。「身体が冷えるから緑茶は飲まない」というのは間違いなのです。
ネット上には「冷える食品」などに関する記述がたくさんありますが、中医学における「身体の寒熱」と「食品の寒熱属性」についてきちんと理解しているのかすこし怪しい情報があります。
ところで、緑茶の成分はポリフェノールだけではなく、他にビタミンやカフェインなども含まれます。
カフェインには胃酸分泌を促進する薬理作用がありますので、濃い緑茶は胃炎や消化管の炎症などの症状がある方には良くない場合が有ります。
(ポリフェノールは炎症などの熱証を抑える作用があり、カフェインは代謝を高め興奮を促す作用があります。緑茶の中でも正反対の薬理効果です。陰陽バランスが取れているのです!)
水出しにするとこのカフェインの抽出が抑えられます。
目白鍼灸院では夏は冷たい緑茶を出してましたが、全て水出しでカフェインが少なくなるように工夫していました。
緑茶は日本人が昔から味わってきたすばらしい飲み物です。
冷え症の人も安心して美味しい緑茶を楽しんでください。
(冷え症に悩んでいる方はぜひ鍼灸治療で改善を!)
記事担当:藤井直樹
関連記事:
コーヒーと健康 コーヒーは身体を冷やす??(2007年6月20日)
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