東洋医学の「脾」とは?(2)脾の不調と歯痕舌
- 2016/07/22
- 12:13
今回は「東洋医学の脾とは?(1)脾の働きについて」(2016年7月20日)からの続きです。
2回目の今回は脾の不調とその原因、そして脾が不調になるとどうなるのか、についてお話を進めてみたいと思います。
脾の不調はいろいろな原因があります。
梅雨や夏の時期に特に多いのが冷たいものの摂りすぎ、特に冷たい飲料やアイスクリームなど。
冷たい飲食物による寒冷刺激で胃が冷え切ってしまい、脾陽がどんどん弱まってしまいます。
かつて私(藤井)が中国に住んでいた20数年前、北京では夏のビールも常温でした。
当時の中国ではビールを冷たくして飲む習慣がなくて、前日にお店に頼んでビールを冷やしておいてもらいました。
お店のおばちゃんから「腹冷やすから冷やしビールは程々にしとけ」なんて言われながら飲んだものです。
いざ、キンキンに冷えた燕京ビールを飲んでも全く泡が立たず、常温で飲んだ方が味が解る不思議なビールでした。
脾胃を冷やすから冷たいビールはダメ!って当時の人は言ってましたが、それより冷蔵庫がまだ普及してなかったのが大きな理由なのではないかな?と思いましたが、そうは思っても口に出して言うのは控えておりました。
脾の働きが低下(脾陽が不足)してしまうと飲食物を消化吸収できないので、気血水がちゃんと作れなくなってしまいます。
気血水が不足してしまうので、元気がなくなります。
そのほか、
・消化吸収ができないので食欲が落ちてしまう、もしくはすぐに満腹になる、
・頭や身体に気血が回らないのでだるい、疲れやすくなる、
・食べても消化吸収されず未消化のまま下痢してしまう、
・血が少なくなるので貧血の症状に悩まされる、
・水が有効利用できなくて、身体はむくむのに喉が渇く、飲むと不快
・少ない気血で脾を動かそうとするので食べるとすぐ眠くなったり、すぐに横になりたくなる、、、、
などの症状が出てきます。
中医学では脾虚証(ひきょしょう)という胃腸虚弱の状態です。
このような脾胃虚弱の際に鏡で舌を観察すると、特徴的な舌を見ることができます。
舌の縁に歯形がついた歯痕舌(しこんぜつ)といいます。
舌が水分で膨張し(胖舌:はんぜつ)ギザギザの歯形がついてしまい、しかも気が不足しているのでフニャフニャ(嫩舌:どんぜつ)で元に戻す力がない状態です。
血が少ない場合は舌全体の色が薄ーいピンク色です。
歯痕舌は健康な人でも出ますが、いつも歯形がついたギザギザの歯痕舌になっている人は脾胃が弱っているサインだと考えますので、この場合はあまり頑張って水を飲まないようにします。汗や尿として積極的に水分を排出しましょう。
運動による汗の排出は特にお勧めです。
このような歯痕舌でも大いに水が欲しくていつもたくさん水分を摂ってしまう場合は、脾胃の虚弱からさらに病態が進んで痰飲(たんいん)という日本漢方の言うところの「水毒」の病態に発展している可能性があります。痰飲ができちゃうといろいろな複雑怪奇な症状が出ますので要治療です。
舌は全身の健康状態を映す鏡なので、中医学の診察に舌診は不可欠です。
我々鍼灸師が治療の際に何度も舌を観察しているのは、舌に表れるいろいろな身体の情報を分析しているからなのですよ。
東洋医学の脾とは(3)ツボの話に続く
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TAG:mejiro tubo acupuncture 夏バテ 東洋医学 夏の体調管理 漢方薬 中医学 脾と働き 脾虚 脾虚って何?脾虚とは 脾 歯痕舌 ギザギザ舌 脾・歯痕舌図・舌に歯形・歯形舌.ぎざぎざの舌・べろの歯形・ギザギザのベロ・しこんぜつ:歯痕舌図・歯痕
2回目の今回は脾の不調とその原因、そして脾が不調になるとどうなるのか、についてお話を進めてみたいと思います。
脾の不調はいろいろな原因があります。
梅雨や夏の時期に特に多いのが冷たいものの摂りすぎ、特に冷たい飲料やアイスクリームなど。
冷たい飲食物による寒冷刺激で胃が冷え切ってしまい、脾陽がどんどん弱まってしまいます。
かつて私(藤井)が中国に住んでいた20数年前、北京では夏のビールも常温でした。
当時の中国ではビールを冷たくして飲む習慣がなくて、前日にお店に頼んでビールを冷やしておいてもらいました。
お店のおばちゃんから「腹冷やすから冷やしビールは程々にしとけ」なんて言われながら飲んだものです。
いざ、キンキンに冷えた燕京ビールを飲んでも全く泡が立たず、常温で飲んだ方が味が解る不思議なビールでした。
脾胃を冷やすから冷たいビールはダメ!って当時の人は言ってましたが、それより冷蔵庫がまだ普及してなかったのが大きな理由なのではないかな?と思いましたが、そうは思っても口に出して言うのは控えておりました。
脾の働きが低下(脾陽が不足)してしまうと飲食物を消化吸収できないので、気血水がちゃんと作れなくなってしまいます。
気血水が不足してしまうので、元気がなくなります。
そのほか、
・消化吸収ができないので食欲が落ちてしまう、もしくはすぐに満腹になる、
・頭や身体に気血が回らないのでだるい、疲れやすくなる、
・食べても消化吸収されず未消化のまま下痢してしまう、
・血が少なくなるので貧血の症状に悩まされる、
・水が有効利用できなくて、身体はむくむのに喉が渇く、飲むと不快
・少ない気血で脾を動かそうとするので食べるとすぐ眠くなったり、すぐに横になりたくなる、、、、
などの症状が出てきます。
中医学では脾虚証(ひきょしょう)という胃腸虚弱の状態です。
このような脾胃虚弱の際に鏡で舌を観察すると、特徴的な舌を見ることができます。
舌の縁に歯形がついた歯痕舌(しこんぜつ)といいます。
舌が水分で膨張し(胖舌:はんぜつ)ギザギザの歯形がついてしまい、しかも気が不足しているのでフニャフニャ(嫩舌:どんぜつ)で元に戻す力がない状態です。
血が少ない場合は舌全体の色が薄ーいピンク色です。
歯痕舌は健康な人でも出ますが、いつも歯形がついたギザギザの歯痕舌になっている人は脾胃が弱っているサインだと考えますので、この場合はあまり頑張って水を飲まないようにします。汗や尿として積極的に水分を排出しましょう。
運動による汗の排出は特にお勧めです。
このような歯痕舌でも大いに水が欲しくていつもたくさん水分を摂ってしまう場合は、脾胃の虚弱からさらに病態が進んで痰飲(たんいん)という日本漢方の言うところの「水毒」の病態に発展している可能性があります。痰飲ができちゃうといろいろな複雑怪奇な症状が出ますので要治療です。
舌は全身の健康状態を映す鏡なので、中医学の診察に舌診は不可欠です。
我々鍼灸師が治療の際に何度も舌を観察しているのは、舌に表れるいろいろな身体の情報を分析しているからなのですよ。
東洋医学の脾とは(3)ツボの話に続く
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